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東京高等裁判所 昭和24年(新を)2398号 判決 1950年3月09日

被告人

楽山信雄

外一名

主文

本件各控訴はこれを棄却する。

当審における訴訟費用は全部被告人田中忠雄の負担とする。

理由

前略。被告人が本籍及び氏名を偽つて判決を受けても、該判決が同被告人を対象として為されたものであることが明かである以上、これをもつて該判決を破棄すべき理由とすることはできない。原判決中被告人中邑信名義の部分の本籍、及び氏名の表示が被告人楽山信雄の偽称に基くものであることは、当公判における同被告人の供述、及び当審受理前の本件記録に徴し明らかであるが、原審は、中邑信名義により被告人楽山信雄を審理して、同被告人に対して判決を言渡したものであるから、該判決は同被告人に効力を生ずるものであつて、所論のように、同判決表示の本籍地が真実と相違しその表示の氏名中邑信が仮定人名なればとてこれがため原判決を破棄して事件を差戻す必要はない。また同被告人に目下捜査機関において、取調中の起訴確実な他の犯罪があつたとしても、所論のようにこれを併合審理させて、被告人に有利な裁判を受けさせるために、原判決を破棄して事件を差し戻す要のないことも明らかである。なお記録に顕れた諸般の情状に徴するも被告人楽山信雄を懲役四年に処した原審の量刑が重きに過ぎるものとは解されない。論旨はいずれも理由がない。

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